ECM特集の続きです。前回は現在精力的に活躍しているミュージシャンを取り上げましたが、今回はレジェンドクラスの方々、ご存知の方も多いであろうビッグネームをご紹介します。
ECM独特の「静かな」世界観、音の音の「間」に潜む空気感のようなものを大切にしたレーベルポリシーは、日本人の奥底に存在する「和」の精神にも通じるものがあるのではないでしょうか。

キース・ジャレット
「ECMと言えばこの人」とまず思い浮かぶ方も多い事でしょう。もちろんそれ以外での活躍も数え切れませんが、このレーベルでのソロ「ケルン・コンサート」やゲイリー・ピーコックとジャック・デジョネットによるトリオ「スタンダーズ」によってここ日本でも人気が高まったと思います。歌を呟きながらピアノを弾くスタイルは好き嫌いが分かれそうですが、私はこれが無いとキースらしくないとすら思えるようになりました。最近は脳卒中からリハビリ中との事。復活を祈念せずにはいられません。
チック・コリア
「リターン・トゥー・フォーエヴァー」のカモメジャケットがなんと言っても有名ですね。チックと言えば、の音数の多いプレイスタイルはECMとしては異色かもしれませんね。それにしても前述した「リターン・トゥー…」でフュージョンの流行につなげ、ゲイリー・バートンとの美しいデュオ、そしてピアノソロなど幅広い活躍を示してくれました。
ゲイリー・バートン
ジャズジャイアントの一人とも言える、ヴィブラフォンの名手ですね。この楽器が持つ透明感はまさにECMにピッタリ。前述のチック・コリアとのデュオが最も有名ですが、様々なミュージシャンと共同名義で作品をリリースしています。パット・メセニーを見出した事でも知られますね。
パット・メセニー
リーダーとしてのデビューはECM「ブライト・サイズ・ライフ」でした。この頃から音色や曲調は(髪型も)変わらないですね。編成もトリオ、カルテットなどアルバムによって変化しつつ「パット・メセニー・グループ」としての活動も盛んでした。
ミロスラフ・ヴィトゥス
ウェザー・リポートの初代ベーシスト。愛聴しているのがソロアルバム「Emergence」で、その深く低いウッドベースの音が心地良く、アナログでのオーディオ試聴にも重宝させてもらっています。
エグベルト・ジズモンチ
ブラジルのギタリスト、と言うよりマルチリード奏者でしょうか。ギターもピアノもどちらも聴き応えのある演奏で惹きつけられます。オーディオマニアにとっては長岡鉄男氏が「外盤A級セレクション」で「Solo」を選んだことで高音質盤としても知られますが、音質だけではない曲と演奏の良さも見逃せません。
ラルフ・タウナー
ECMからかなり多くのアルバムをリリースしているギタリスト。現在も新作をリリースし続けています。それもあるのでしょうか、「最もECMらしいミュージシャン」という印象が個人的にはありますね。ガットギターや12弦ギター、そしてピアノも弾きます。ソロやデュオなど編成は少ないものが多く、それだけに彼の繊細なプレイを存分に味わうことができます。

ジョン・アバークロンビー
こちらもECMでのリリース枚数の多いギタリストです。ふわっとしたエッジを立てない幻想的とも言えるサウンドが特徴ですね。ECMは「どこか別世界へ連れて行ってくれる」感が強いのですが、ジョンは特にそういう演奏をしてくれます。
ヤン・ガルバレク
この人もまさに「ミスターECM」と言えるようなサックス奏者かもしれません。特にソプラノ・サックスを演奏しますが、結構フリーキーなプレイもするので静けさの中から出現するその音に驚かされる事もあります。しかしあくまで透明感を湛えた音なので、そこはやはりECMですね。エグベルト・ジズモンチやチャーリー・ヘイデンと組んだ「マジコ」で名演を聴くことができます。
ジャズ全体としても「レジェンド」級のミュージシャンが多いので、個別に取り上げたくなりましたね。機会があれば改めて深掘りしてみたいと思います。


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