ここで帝王の登場。やはりジャズを語るにはこのお方を外す訳にはいかないのです。
そしてこのお方の数知れぬ作品群の数々の中から、真っ先に紹介するのは結局これになってしまうのです。
やっぱり、聴くたびに「いいわ、これ〜」となりますね。名盤というのは、そういうものなのです(言い切る)。
- マイルス・デイヴィス(tp)
- ジョン・コルトレーン(ts)
- キャノンボール・アダレイ(as)
- ビル・エヴァンス(p)
- ポール・チェンバース(b)
- ジミー・コブ(ds)
収録曲も載せますね。
A面
- So What
- Freddie Freeloader
- Blue in Green
B面
- All Blues
- Flamenco Sketches
2曲目だけエヴァンスの代わりにウィントン・ケリーだったりしますが、エヴァンスが客演しているのも実は珍しかったりします。
この名盤の解説でよく取り上げられる「モード奏法」が云々、とかそういった「お勉強」的なことはとりあえず棚に上げておきましょうか。私もよく分からん、という事もありますけど。
しかし、マイルスが新しい事にチャレンジした結果生まれた傑作であることに間違いはありません。
まずは1曲目「ソー・ホワット」オープニング。この静謐感漂う出だしで一気に緊張感を高めてくれます。おとなしめのベースとホーンによるコール&レスポンス。「それまでのジャズとは違う」と誰もが当時思ったことでしょう。一体これから何が始まるのだろう。そういう高揚感に持っていかれるに違いありません。日常とは異なる、ある種非現実的なピリリとした感触。そして!そこから空間を切り裂いていくマイルスのトランペット。ミュートカップを付けていると思われるのでそれは決して高らかに鳴り渡るものではないのですが、明らかに切り裂いています。それがマイルスの「力」というべきものなのでしょう。
サックスが2人、コルトレーンとキャノンボールがいるので交代しつつソロを取りますが、マイルスのサイドメンとして吹いているときの二人は完全に「マイルスの望む音」を出しています。それは彼らのリーダー作品を聴けば明らかですね。個人的には特にコルトレーンはマイルスのサイドで吹いているときの方が好きだったりしますが、これはまあファンの方からお叱りを受けますかね…
アドリブもありますが、全体的にマイルスによる統制、いや世界観の中で進んでいきます。3曲目「ブルー・イン・グリーン」はエヴァンスの曲とも言われていて、確かにそんな雰囲気を持っています。エヴァンス自身もその後トリオで演奏していますね。マイルスとエヴァンスの目指すものが共鳴しているように感じて、これまた聴き応えのある曲です。個人的にも好きな曲ですね。
B面に移って(デジタルだと4曲目と5曲目)「オール・ブルース」と「フラメンコ・スケッチ」。「ジャズって夜が似合うな〜」とあらためて頷きたくなるような雰囲気のある曲が続きます。聴きながらウィスキーを傾けるも良し(私自身は下戸ですが)、うたた寝をするのも悪くないですね。マイルスの吹くミュート・トランペットが儚げに、しかし大きな大きな存在感を持って周囲を支配しています。
結局、マイルスの凄さというのはですね、この「支配力」なんじゃないかと思うんですね。辺りを全てマイルスに染めてしまう。ある意味、怖いですね。でもその「怖さ」を味わいたくて、音楽を聴いている側面もあったりするのですわ。ビートルズもジョンとポールという、二人の「怖い人」がいるから無双できたと思っているんですよ。
少し話は逸れましたが、マイルス聴くならやっぱりここから。ここから少し前に遡るも良し、後を追っていくのもまた良し…しかしマイルス沼は深すぎますけどね。それがまたイイ…
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