「ファンキー・ジャズ」と呼ばれるカテゴリーがありますね。アート・ブレイキーの「モーニン」とかアダレイ兄弟などが挙げられますが、私個人が真っ先にに思い浮かんだのがこのホレス・シルヴァーの「Song For My Father」です。
ホレスと言えば、ブルーノートレーベル全盛期を支えたピアニストの一人ですよね。このコーナー、ブルーノートのアルバムを連続して取り上げていますが、特に意図はありません。自分の好きなアルバムが多いわけですね。ブルノートだけでも20枚以上のアルバムをリリースしていますが、こちらは12番目の作品で1965年発表です。ビルボードチャートにもランクインしたという事で、やっぱりヒットしたアルバムなんですね。
まずはこのジャケット、写真に写っている男性は本当にホレスの父親との事です。ブルーノートのジャケットはやっぱり粋ですね。

参加ミュージシャンは曲によって2パターンありまして、まずは1、2、4、5曲目が
- ホレス・シルヴァー(p)
- カーメル・ジョーンズ(tp)
- ジョー・ヘンダーソン(ts)
- テディ・スミス(b)
- ロジャー・ハンフリー(dr)
そして3、6曲目が
- ホレス・シルヴァー(p)
- ブルー・ミッチェル(tp)
- ジュニア・クック(ts)
- ジーン・テイラー(b)
- ロイ・ブルックス(dr)
となっています。つまりは録音日も異なりますね。後者の方が「いつもの」シルヴァー・クインテットになります。
曲目は
SideA
1. Song For My Father
2. The Natives Are Restless Tonight
3. Calcutta Cutie
SideB
4. Que Pasa
5. The Kicker
6. Lonely Woman
5曲目(ジョー・ヘンダーソン作)を除いて全てホレス自身の書いた曲です。現在のCDはボーナストラックも数曲入っていると思いますが、それは割愛しますね。
まずはタイトルでもある1曲目「Song For My Father」。ホレスがリーダーの曲では1、2を争う人気曲ですね。ホレスが奏でる出だしの低い音から引き込まれてしまいます。このオープニング、スティーリー・ダンの「リキの電話番号」のフレーズですね。そしてホーンが繰り広げるテーマ、これがやっぱり口ずさみたくなるようなノリの良さ。そしてバックに回った時のホレスも効いています。ホーンが引っ込んでホレス中心のトリオ演奏に移りますが、ここも美味しいフレーズのオンパレード。続くジョー・ヘンのアドリブ時でのバッキングで繰り返されるピアノも好きですね。いや~、あらためて聴くと、「やっぱり良い曲だな~」と唸らされてしまいますわ。
2曲目「The Natives Are Restless Tonight」は、ブルーノートらしいある意味オーソドックスなファンキー・ジャズ。有名曲の後なので割を食っている感がありますが、これも良いですね。行進曲のようにアップテンポで勢いが良く、ホーン隊が大活躍しています。
3曲目「Calcutta Cutie」に入ると打って変わって不思議な世界へ。物語の展開を想起させるような進行、ホレスの脚本家的なソングライティングの才能を思い知らされます。
レコードで言えばB面に入っての4曲目「Que Pasa」、タイトルもそうですがラテン的な曲調で「Song For My Father」に似た雰囲気を持った曲です。ただホーンが抑えめの演奏で、そこが3曲目同様不思議な感じに襲われます。
5曲目「The Kicker」はジョー・ヘンの曲ということで、ホーンが活躍するアップテンポのハードバップナンバー。ここでのホレスは自作曲に比べると幾分ストレートで直線的な感じでしょうか。
最後の「Lonely Woman」はピアノトリオ演奏で、静かに幕を閉じます。ここでのホレスはしっとりと、溜めを効かせつつ情感豊かに奏でます。何か後ろ髪を引かれるような、ラストに相応しい曲だと思いますね。
もしジャズを何から聴いていいか迷っていて、例えば「心沸き立つような、ジャズの勢いのようなものを感じたい」のであれば、まずはこのアルバムから聴いてみるのも良いかもしれないな、と感じさせてくれるアルバムでした。今回じっくり聴いてみて、その思いを強くした次第です。




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