特にこれまでお話ししてきたような特別な「ムーヴメント」があったわけではありませんが、80年代には「王道」とも言えるアメリカン・ロックを演るシンガーが数多くヒットしました。イギリスで煌びやかなファッションに身を包むニューロマが流行ましたが、アメリカではシンプルな白いTシャツだけで歌うような(あるいはそれが似合いそうな)ロックシンガーが流行ったりしていたんですね。面白い対比です。現に日本でもその後、ヘインズの白いTシャツにリーバイス501、というファッションが流行ったりしましたね。
そこで今回はそういった、名付けて「白T系ロック」シンガーを紹介したいと思います。…やっぱり自分はネーミングセンスないですね(笑)。コピーライターにはなれそうにありません。
ブライアン・アダムス
白Tシャツと言えばやっぱりこの人。「死ぬまで18歳」と言うだけあって、今でも若々しいブライアン。80年代にアルバム「レックレス」が大ヒットしました。アメリカン・ロックと言いつつ、カナダ出身のブライアンが代表というのもおかしなものですが…ご勘弁を。10年ほど前に来日公演に行きましたが、格好良かったですね〜。永遠に俺たちのアニキ、といった爽やかな笑顔が忘れられません。
ジョン・(クーガー)・メレンキャンプ
芸名で揉めていたようで、名前が2回変わりましたね。現在は本名の「ジョン・メレンキャンプ」です。弱者、特に農村部の人たちに寄り添うような内容の歌詞で、硬派なイメージが強い方です。とは言え、曲調はシンプルでキャッチーなアメリカン・ロックなので聴きやすさでヒットしていたと思います。個人的にも好きなシンガーで、新作が出れば買っていました。
トム・ペティ
「&ハートブレイカーズ」として70年代から活躍しているので、この中では先輩格ですね。ディランやバーズに影響を受けた、シンプルなロックンロールが信条です。「トラベリング・ウィルベリーズ」への参加から、89年にソロ名義作がヒットしましたね。数年前にお亡くなりになったのが悔やまれます。
コリー・ハート
憂いを込めたような歌い方で、ミディアムな曲調で真価を発揮するタイプでしょうか。バラードが上手くてルックスも良いので、女性人気も高かったように記憶しています。プレスリーの「好きにならずにいられない」のカバーで情感を込めた歌い方は、確かに絶品。2019年に久しぶりの新作が出ましたが、相変わらずの若々しい声で嬉しいものですね。
エディ・マネー
86年にロネッツの名曲「Be My Baby」の一節を挿入した「Take Me Home Tonight」のヒットが大きいイメージがありますが、70年代後半からスマッシュ・ヒットを何曲か飛ばしています。
代表曲:「Take Me Home Tonight」「Walk on Water」
ジョン・キャファティー(&ビーバー・ブラウン・バンド)
忘れられてしまった存在かもしれませんが、「ロッキーⅣ」のサントラや、その後のスタローン映画「コブラ」の主題歌も歌った実力派。サウンドはいかにも80年代的ではありますが、ライヴ盤を聴くとサックスも入ってシンプルで楽しいロックンロール。声がスプリングスティーンにちょっと似てますね。「コブラ」がもっとヒットしていれば…とは思ったりはします。
代表曲:「Tough All Over」「Voice of America’s Sons」
ジョン・エディ
この人もスプリングスティーンの弟分的な位置付けだったように思います。アルバム1、2枚で姿を見なくなった…と思っていましたが、2000年代に入ってリリースがあり、最近ではカントリーに近いアーティストになっていました。
代表曲:「Jungle Boy」「Hide Out」
ジョン・パー
なんだかジョンばかりですね。最後は映画「セント・エルモス・ファイヤー」主題歌のヒットで知られるジョンです。とは言え、その後があまり続かなかったのが残念…「一発屋特集」では名前が挙がりがちな人になっていますね。
後半は「それ誰?」的な人が続いてしまったかもしれませんが、当時私自身が結構好きだったロッカーを取り上げました。中にはいかにも80年代特有の音作りの方々もありますが、今のアレンジで録音したらかなりカッコいいのでは?と思ったりします。
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