80年代洋楽を思い出す(6)〜「ネオアコ」

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これまでお話ししてきた80年代、総じて言うと「デジタル」なイメージなんですね。音を加工することが一般的になって、それを取り入れた結果、良くも悪くも何だかピコピコした音になった、という。

しかし、当然と言いますか、それに対するカウンターのような動きはあったわけです。それが、

「ネオ・アコースティック」です。

通称「ネオアコ」と略されることが多いこのムーヴメントは一体何か?

簡単に言ってしまえば、いわゆる一種の「ギターポップ」ですね。少し経緯を語ります。70年代後半英国の「パンク」ムーヴメントから、シンプルな音だけで勝負する傾向は水面下で脈々と引き継がれていました。パンクのような反骨精神を持ちながらも、諦念も含んだような「汚い大人にはなりたくない」青臭いモラトリアムな心情でアコギ(と言うより実際にはエフェクトを極力排したエレキギター)をかき鳴らしつつシンプルなバンド編成で歌う、というスタイルですね。なので、全体的に「繊細」「か細い」今で言うと「草食男子」的なイメージが形成されます。

こう書いていると、何だかネガティヴな感じですね。決してそうではありませんよ。むしろ、瑞々しく爽やかなアコースティックなサウンドは当時の加工したサウンドからすると、かなり新鮮だったとも言えます。メロディも流麗ですしね。

さて、代表的なバンドを紹介していきますよ。

アズテック・カメラ

まず筆頭に挙げられるのがこのバンド。フロントマンのロディ・フレイムのほぼワンマンバンドと言っても差し支えないと思います。瑞々しいギターサウンド、青臭さを表現したヴォーカル。それだけでなく、ソウルテイストも添えたグルーヴィーさも持ち合わせています。ロディは当時の派手なアメリカン・ロックが嫌いだったようで、ヴァン・ヘイレン「JUMP」を皮肉っぽくカバーしています。

代表曲「Oblivious」「All I Need Is Everything」「Somewhere In My Heart」

オレンジ・ジュース

まあ、バンド名だけでも何だか瑞々しそう(笑)ですね。とは言えまだパンクの香りを漂わせており、そこに爽やかなカッティングギターが乗っかる感じが良いです。縦ノリと横ノリが混在しているような、ちょっとクセになる独特なグルーヴィー感が持ち味ですね。割と果汁は濃厚なようです。リーダーのエドウィン・コリンズはソロでもヒット作を出しています。

代表曲:「Rip It Up」「I Can’t Help Myself 」

モノクローム・セット

音だけ聴いても、なんだか皮肉がこもっていそうな、いかにもパブリック・イメージ的な「英国」を体現しているようなバンドかと思います。でもそこがオシャレ感、ありますね。この辺りが後に日本で「渋谷系」音楽に取り入れられた要素なんでしょうね。

代表曲「Eine Symphonie des Grauens」「The Jet Set Junta」

エヴリシング・バット・ザ・ガール

ベン・ワットとトレイシー・ソーンのユニット。ジャジーなトーンも特徴とするので、この中では異質かもしれませんね。そのため「オシャレ系」として聴かれる事も多かったですかね。90年代に入ってハウス系のミックスを施した「ミッシング」がヒットするので、あまりネオアコというイメージは無いような気もしますが、80年代はまだアコースティックでした。何と、この春には20年ぶりの新作が出るそうです。

代表曲「I Don’t Want To Talk About It」「Night And Day」

フェルト

流麗なアルペジオで奏でられるギターの美しさと、独特の味のあるヴォーカルが特徴のバンド。ギターが目立つ点では最も「ネオアコらしい」かもしれませんね。

代表曲「Primitive Painters」「Penelope Tree」

前述したように、日本で90年代に「渋谷系」と呼ばれるムーヴメントがありましたが、特にフリッパーズ・ギターによってネオアコが再発見されることになりました。確かにドラマ主題歌としてヒットした「恋とマシンガン」なんて、もろにネオアコですな。

あらためて聴き直したりしましたけど、ネオアコってポップだけど音数は少なくて、売れ線と呼ぶほどキャッチー過ぎない、ギリギリのところを攻めた「程良い」感じの音楽だな〜、と認識を新たにしました。

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