80年代洋楽を思い出す(4)〜ドラムの「音」

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前回に引き続いて「音」から見た側面で80年代についてお話ししていきますね。

シンセに次いで印象的なのが、「ドラムの音」だと思うんです。聴くと「ああ、80年代っぽいよね〜」と妙に納得してしまう、あの音。その前後の時代と比べると、やたらバタバタしていたりドスドスしていたりスカスカしていたり…そういう曲がやけに多いと思いませんか?「そんな音が流行りだった」と言ってしまえばそれまでなんですが、やはりシンセサイザーと同様、当時様々なデジタル加工が可能になってミュージシャンやエンジニアは楽しくてたまらなかったのではないでしょうか。そんな時代の徒花なのか過渡期なのか、ドラムがいかにも80年代的な曲をいくつかご紹介したいと思います。

その前に、2つばかり当時のドラム周辺の流行について説明したいと思います。

  • ゲート・リヴァーブ
    昔は「ゲート・エコー」と呼んでましたね〜。エンジニアであるヒュー・パジャムフィル・コリンズと共に偶然編み出してしまった手法との事。この話で必ず出てくるのがフィルの名曲「夜の囁き」で、スネアに一旦リヴァーブを掛けて響かせておいてすぐに断ち切る。これで「あの」音になるわけです。
  • シンセドラム
    「シモンズ」製のものが有名ですね。あの六角形のやつ…と言えばわかりやすいはず。「C-C-B」を思い浮かべますよね。電子ドラムを一躍有名にしたものです。生ドラムに比べるとどうしても無機質的、いかにもデジタル的な音になりますね。前回紹介したジェネシス「インヴィジブル・タッチ」でフィルが叩いているのが、まさにこれです。

それでは、曲を紹介していきますね。

「サム・ライク・イット・ホット」パワー・ステーション

ドカドカ・ドラムの代表みたいな曲ですね。デュラン・デュランのジョン&アンディ・テイラーとロバート・パーマー、そしてドラマーにシックのトニー・トンプソンを迎えて結成されたプロジェクトでしたが、当時強烈な印象をもたらしてくれました。この凄いドラムもゲート・リバーブの一種の発展系で、録音されたスタジオその名も「パワ-・ステーション」を一躍有名なものにしました。

「恋におぼれて」ロバート・パーマー

上記パワー・ステーションのヒットでロバート自身のソロ作もヒットしましたが、この曲は参加ミュージシャンもほぼパワー・ステーションのメンバーで、やっぱりドラムがドカドカ凄いのです。ビデオクリップも良かったですね〜ギターを弾き振りをする無表情な女性モデルを従えて、ダンディな出立ちのロバートが歌う、という。

「イージー・ラヴァー」フィル・コリンズ&フィリップ・ベイリー

フィルの叩くドラムに掛けられたゲート・リヴァーブが見事に効いて、思いっきりスネアを強調したサウンドになっていますね。それであの「バタンバタン」したドラムサウンドが出来上がりました。

「デンジャー・ゾーン」ケニー・ロギンス

最近続編が話題だった映画「トップガン」のテーマとして、あまりにも有名ですね。結局今回の続編「マーヴェリック」でも使われました。いかにも「これぞ80年代!」とばかりにシンセ中心のサウンドが鳴り渡ります。シンセドラムもバシバシ鳴ってますね〜ベースの方が目立っているかもしれませんが(笑)。

「ボーン・イン・ザ・USA」ブルース・スプリングスティーン

冒頭のスネアがわかりやすくゲート・リヴァーブを掛けています。定番曲とも言えますけど、やっぱり当時ならではの独特なサウンドに感じられてしまいますね。ただこのサウンドが元々はアコギ主体で録音するつもりだったというこの曲を、ヒット曲に変身させたことも事実ではあります。詩の内容はかなり重いですからね。

「パートタイム・ラヴァー」スティーヴィー・ワンダー

カセットテープ(!)のCMソングでしたね。この曲のバックトラックはスティーヴィー自身が全て作ったそうです。なのでドラムも「打ち込み」です。やっぱりいかにも「リズムが定規で線を引いたように一定」な感じがしますね。ただこの曲の場合は、その無機質感が逆にマッチしているように思えます。むしろ「この時代でしか出せない音」を見事に表現しているように感じるのです。

いくつか挙げさせていただきましたが、絞るのが大変でしたね(笑)。「ああ、他にこんな曲があったな」と色々連想していただければ、幸いかと存じます。

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