ECMの魅力に迫ります、現代アーティスト編

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ブルーノートに代表されるように、ジャズにおいては「レーベル」の個性が特に色濃く出ているように感じます。「音」が違うんですよね。同じ楽器であっても、同じ演奏者であっても。それがそのレーベルのアイデンティティなんでしょうね。

そんな個性が際立つレーベル、「ECM」を取り上げたいと思います。創設者マンフレッド・アイヒャーの提唱する「沈黙の次に美しい音」という言葉。つまり「無音がもっとも美しい」ということでもあるのでしょう。それが体現するように、このレーベルの音は基本的に「静寂感」があって、決してうるさくありません。個人的には夜のリスニングにうってつけでもあります。

一目で「ECM」とわかるジャケットも大きな特徴の一つですね。

そんなECMレーベル、この特徴的な音、つまりは音質も好きなんですね。「うるさくない」とは言いましたが蚊の鳴くような音という意味ではありません。静けさの中に鳴り渡る音のレンジは実に広大。わずかに効かせたリバーヴが心地良く神経を刺激してくれます。この独特の音空間に身を委ねると「どこかへ連れて行ってくれる」仮想現実的な体験も可能なのです。

…何だか伝わりにくい表現になってしまいましたね。とにかくこのECMの世界の一端をご紹介しようと思い立ったわけなのです。

1969年創立という歴史の長いECM、まずは現代のミュージシャン達を紹介します。いわゆるレジェンド級の方々はまた別の機会にお話ししたいと思います。この現代の作品、オーディオ試聴曲としても使いやすいという点でもお勧めです。

トルド・グスタフセン 
この覚えにくい名前(失礼)のピアニスト、たまたまサブスクを掘っていたら発見したんですが、CD時代だったら出会えていたかどうか。オーディオ試聴盤でも取り上げましたが、当時最新だったトリオ「The Other Side」がとにかく良かったんですね。「美メロ」とも言いたくなるようなフレーズがこれでもかとばかりに次々に繰り出されるんですよ。ベースとドラムもしっかりと寄り添ってまさに「良い塩梅」。そしてこれぞECM!と言いたくなる、空間描写。素晴らしいです。

ドミニク・ミラー 
スティングのバンドのギタリストとしても有名ですね。彼のギターはスティングになくてはならないものになっています。そんな彼のギター、確かにECMの静謐感のある音作りにぴったりです。音の無い空間からポッカリと浮かび上がる艶のあるサウンド、そして甘美なメロディを伴ったフレーズ。何度でも味わいたくなります。

ウォルフガング・ムースピール 
オーストリア出身のギタリストです。ECMは当初からギタリストがリーダーの作品も数多いですね。クリーントーンを生かしたギターのサウンドは尖った刺激が少ないのでこのレーベルが求める静寂感に合うんでしょうね。ガットギターとエレキを使い分けているようです。

マルチン・ボシレフスキ 
ポーランド出身のピアニストで、同じメンバーでのトリオを30年以上続けています。ピアノのタッチが美しく、まさにECM的とも言えます。ロック/ポップス系のカバーも得意としていて、お勧めしたいアルバムにはポリス「孤独のメッセージ」が収録されています。他にもプリンスやドアーズの曲を演っていたりします。

ヤコブ・ブロ 
デンマーク出身のギタリスト。エフェクトを効かせて「ふわっ」とした音で空間に漂わせるサウンドはアンビエント系にも近いものを思わせます。しかしベース、ドラムはアコースティックなのでオーソドックスなジャズ編成なのです。

ジョヴァンニ・グイディ 
イタリア出身のピアニスト。緊張感に満ちた演奏は何か氷を想起させたりもします。しかし時に強く打鍵されるプレイ、芯は熱いに違いありません。ベースとの掛け合いも彼の作品の魅力の一つ。オーディオ的にもベースの深く低い音を楽しめます。

ヴィジェイ・アイヤー 
ソロ、デュオ、トリオ、セクステッドなど様々なフォーマットで型にはまらない演奏を届けてくれるピアニスト。ジャズ、クラシック、エレクトロ、現代音楽…彼をジャンル分けするのは無意味かもしれません。そうかと思えばスティーヴィー・ワンダー「オーヴァージョイド」を演ったりと振れ幅は大きい人です。

こうして何だか小難しい事もお話ししてきたかもしれませんが、何も考えずにどっぷりとその「静けさから浮かび上がってくる音」に身を委ねてみるのが一番かな、とも思ったりしました。でもここに挙げたミュージシャン達にも着目して聴くのもやっぱり面白いですね。

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