個人的にはこの「リボルバー」とその前作「ラバー・ソール」はビートルズの中で好きなアルバム2トップなのです。どちらも甲乙捨てがたいので、1位はありません。
さてそんな「リボルバー」が「スペシャル・エディション」となってリイシューされました。
それにしても、発売されたものにはいつもの事ですが随分バリエーションがあります。
- 「5CDスーパー・デラックス」
- 「2CDデラックス」
- 「1CD」
- 「4LP+7inchシングル」
- 「1LPピクチャー・ディスク」
- 「1LP」
これでさらに輸入盤もあるわけですから、迷っちゃいますよね…
私はすいません、今のところ何も買わずにAmazon music HDで「スーパーデラックス」のCD5枚分63曲全て聴かせていただきました。ハイレゾ(96kHz/24bit)です。ただ、やっぱりこういうのは形になっている方が良いので、少し寂しいものがありますね。
メインとなるのはジョージ・マーティンの息子さんであるジャイルズ・マーティンによるリミックスですね。オリジナルのステレオミックスは曲によってボーカルが片方のチャンネルに寄っていたりと、かなり残念なもの(それが好きな方はごめんなさい)が散見されるので、それが正されたアレンジは歓迎したいところです。60年代当時のステレオ録音というのは、特にポップスにおいては重要視されておらず、ビートルズに関してもモノラルがメインでありステレオのミックスはメンバーの立ち合いすら無かったというレベルなので、推して知るべしという事でしょう。このスペシャルエディションでは、ほぼ現代に通用するステレオとしてのアレンジになっています。「うん、これだよね〜」と納得の行く定位感が得られました。音質も粒立ちの良い、リミックス&リマスターの効果が如実に表れているもの、と言えるでしょう。これまでのCDでは線の細いイメージのあった音が、本来の芯の太い音になっています。
「5CD」ではDisc2と3、「2CD 」ではDisc2には例によってデモなどのアウトテイクが多く収められています。当然、これが楽しみで購入される方も多いでしょうね。私も楽しみにして聴きました。印象深かったのは「イエロー・サブマリン」のデモで、ジョンが弾き語り(?)で歌っているテイクでしょうか。リンゴのちょっと惚けた歌い方とは違って、ヒリヒリとしたような空気感が醸し出されていて面白かったですね。でも曲はやっぱりポールが作ってますよね?という。これは収穫でした。
とは言え全体的には、こうしたアウトテイク的なものは一回二回聴けばいいかな、というのが個人的な感想です。やはり作品として完成された曲は「もの」が違いますから。元々ブートレグ的なものもあまり食指が動かない性質なのですわ…ファン気質が足りない!と言われるでしょうかね。
さて「5CD」の4枚目は「オリジナル・モノ・マスター」となっていますが、これは録音当時のテープから起こしたそうです。ちなみに私はレコードでモノラル盤(イエロー・パーロフォン)を持っていますが、これがまた、良いんですよね〜。ビートルズをお好きでしたら、ぜひ当時のモノラル英国盤アナログをモノラル専用針でお聴きすることを強くお勧めしたいです。
…話が逸れてしまいました。5枚目の「リボルバーEP」は、要するにシングル「ペイパーバック・ライター」と「レイン」のニュー・ステレオ・リミックスとモノラル・ヴァージョンです。両方とも好きな曲なので、収録は嬉しいですね。
そんな贅沢なスペシャル・エディション。保存盤という点では、個人的にはLP(1枚もの)を持っておきたいですね。このミックスならば、ステレオでもアナログで聴く価値があると思うからです。
色々喋ってきましたが、やっぱり「リボルバー」、良いですわ〜。「ラバー・ソウル」もそうですが、速球投手が経験を経て数々の変化球を身に付けて盤石になった感がありますね。あらためて、再確認させられました。良い音で聴くと、さらに染み入ってくると思いますよ。
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