ジョニ・ミッチェル〜敬愛するロック・レジェンド(2)

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2回目となりましたこのシリーズ、ご登場いただくのはジョニ・ミッチェルです。

何だかシンガーソングライター系ばかり続きますね。基本的にギターを掻き鳴らしながら歌う、というスタイルが好きなんでしょうね、自分。

この方も現在78歳で引退こそしておりませんが、2015年に脳動脈瘤を発症してしばらく活動はストップしていました。最近フェスで13曲歌ったというニュースもあるので嬉しい限りですね。とは言え無理はしないで欲しいとも思います。

さてJoni Mitchellの何がそこまで私を惹きつけるのか。

聴いていると「何か底知れぬ恐怖を感じる」事でしょうか。

何と言うんでしょうね、歌の中から渦巻いた情念や狂気みたいなものが…立ち昇ってくるような感覚に襲われるんですよ。怖いもの見たさ、いや聴きたさで何度も聴いてしまいます。ある意味、大きな魅力ですね。一体これの正体は何だろう?と思わざるをえません。

後年になって明かされた過去は、全く売れない時代の妊娠、出産、そして貧困のためその子を養子に出さざるを得なかったというもの。こういったトラウマのようなものが一つの要因ではあるのでしょう。おそらく、あくまで「一つ」の。

彼女の曲を最初に知ったのは「青春の光と影(Both Sides Now)」で、かなりの人がそうなんじゃないかとも思うのですが、確かにジョニの中では聴きやすいと言いますか、「重くない」曲ですね。それでもあらためて聴いてみると、やっぱり「怖い」かもしれません。

「怖い」という印象をまず語ってしまいましたが、基本的に彼女の作る曲はポップで耳馴染みも良いので、とっつきやすいという側面もあります。現在に至るまで、かなりカバーされている事からも伺えますね。

また、ギター弾き語りのSSWからフュージョン系ミュージシャンを揃えたバンド形態への変遷も面白いところです。特に伝説のベーシスト、ジャコ・パストリアスを起用したのは彼女の才能をさらに開花させた事でしょう。他にもラリー・カールトンのような新進気鋭(当時)、ハービー・ハンコックウェイン・ショーターといった大物までも巻き込めたのは、そのカリスマ性故でしょうね。

おすすめアルバムとしては…

「永遠の愛の歌(原題:Hits)」

やっぱりベスト盤をまずは聴くのが早道ですね。有名どころは大体網羅されています。気軽な聴き方も出来ますしね。もう一枚裏ベスト盤的な「Misses」もありますが、こちらを聴くよりはオリジナルアルバムへ行った方がいいかな〜とは思います。

「ブルー」1971年

自分もこのブログで「70年代ベストアルバム」1位に挙げた作品です。良い曲が多くてリピート率の高い名盤中の名盤ですね〜。これはジョニ云々以前により多くの方々に聴いて欲しいと切に願います。出来れば少しボリュームを上げて、彼女の「情念」「怖さ」が伝わるような聴き方が、個人的にはオススメですね。いわゆる「綺麗な声で癒される女性ボーカル」を望まれると、ちょっと違うかもしれませんが…

ジャケがかなりイイ感じになっている、「ブルー」のオリジナル盤です。

「コート&スパーク」1974年

バックバンドのメンバーが超豪華な名盤。ラリー・カールトン、トム・スコット、ジョー・サンプルといったジャズ/フュージョン系からロビー・ロバートソン、グレアム・ナッシュ、デビッド・クロスビーといったロック系の方々まで幅広い人選。特に冒頭から3曲目までの流れが素晴らしい。

まずはこの辺りを押さえておいて、「夏草の誘い」「バラにおくる」をこれらの次に聴くのが順当かな、と思います。ライヴも良いですよ〜。「マイルズ・オブ・アイルズ」「シャドウズ・アンド・ライト」は両方ともバックの名手たちの演奏も含めて聴き応えがあります。特に後者はパット・メセニーが参加していますね。

あと、こちらはオーディオマニアの方に…

「ミンガス」1979年

タイトル通り、ベースの偉人チャールス・ミンガスに捧げられたアルバム。共演の予定がミンガス逝去のため、ジャコやハービーの演奏になりました。アナログでオリジナル盤を入手出来れば、2曲目で演奏されるギターのカッティング音がエグいので、オーディオ好きな方には是非試して頂きたいところでもあります。デジタルや非オリジだとそれ程でもないので、結構条件が限定されてしまいますが…

番外編としては、ハービー・ハンコックのジョニへのトリビュート作「リヴァー」も良いですよ。冒頭のノラ・ジョーンズが歌うカバーも秀逸ですし、ジョニ本人も参加しています。もう一枚はその名も「トリビュート・トゥ・ジョニ・ミッチェル」で、ジョニの名曲群をプリンス、ビョーク、エルビス・コステロなど豪華アーティストがカバーしています。ミュージシャン達からのリスペクトが多いのも頷ける作品になっています。特にプリンスの歌う「ケイス・オブ・ユー」はいや〜、本当に泣けますね。

なかなか語り尽くせないジョニの魅力、是非ともできるだけ大きな音で聴いて、彼女の魂の歌声を堪能したいものです。

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