昔はちょくちょく読んでいたオーディオ雑誌「ステレオサウンド」。通称「ステサン」ですね。久しぶりに読んでみようかと思い立ちました。そう言えばこの雑誌、私も登録しているサブスク「Kindle Unlimited」に入っているんでした。言わば「タダ」で(実際は違いますが…)読めてしまうことを思えば、逆に読まないともったいないですね。オーディオ雑誌では「オーディオアクセサリー」「アナログ」「管球王国」「ステレオ時代」などがあります。ただ、毎号対象になっているとは限らないので、注意は必要なんですけどね。

そんなわけで最新号(235号)を読んでみる事にしました。第一特集は「現代ハイエンドスピーカーの『音』」、ということでこの雑誌「らしい」特集ですね。300万円から1400万円の高級スピーカーを試聴していくという趣向です。とは言え、「300万円」という金額は今やスピーカーにとっては「超」が付くほど高級ゾーンではなくなっていますね。恐ろしいことではありますが。そして「1400万円」もさらにゼロが一つ増えているとんでもないものが登場しているのが現状で、驚くほどの価格ではないという事にもなります。まあ、車だってそうですね。
それにしてもiPadを使って閲覧してるわけなんですが、本文に到達するまで広告の多いこと多いこと。紙の本でも同じことなんですが、ページをめくる(「スワイプ」ですね)指が疲れてくるほどです。まあ、興味を惹かれる広告ページがあれば止まってみたりしますけどね。紙の本はアバウトにページを飛ばすことが簡単だな、と当たり前の事実を再認識します。
さてその特集。19モデルのスピーカーを価格順(低い方から)に、3人の評論家が試聴室で聴いて鼎談の形でコメントしていきます。面白いのは各評論家の「好み」「スタンス」のようなものが反映されていて、意見が分かれたりするところですね。結局、何を優先するかという話で、譲れない箇所というのは人それぞれですよね。解像度なのか、音楽をいかに生き生きと楽しませてくれるか…
今回の最廉価ラインの「300万円」は20年前だったら100万円前後かな、という印象を持ちました。今みたいな円安でなくとも、オーディオ機器のインフレは早くから進んでいましたね。2番目に登場した「アヴァロン」はイメージ的には最先端ハイエンド系の一つというブランドですが、この鼎談から音の傾向はむしろ「少し前の時代」っぽい評価のような感じでした。まあ、上級機ではない(でも300万Over)ので音楽性重視という事なんでしょうね。
3番目の「ジャーマンフィジックス」は以前から聴いてみたいスピーカーですね。無指向性の音がどんなものなのか。自作では昔からこの手のタイプは作られてきている伝統?はあるので、一度自分でチャレンジしてみるのも良いかもしれません。もちろん超・チープに…
日本が誇る「TAD」は6番目に登場。やはり国産スピーカーらしく、緻密なオーディオ表現は抜きん出ている事が伺えます。
そして「ソナス・ファベール」「ピエガ」と、馴染みのあるブランドが続きます。前者は以前ほど「楽器系スピーカー」からは脱却していることが分かります。後者はアイコンでもあるリボントゥイーターを相変わらず研ぎ澄ませ、解像度と音楽性を併せ持つスピーカーに進化しているようです。ぜひ聴いてみたいものですね。
「アルベド」というブランドはあまり知られていませんが、「トランスミッションライン」方式を採り入れているところに興味を惹かれました。カット写真を見ると自作でもよく見られるオーソドックスな構造です。この方式は一度挑戦したことはありますが、「PMC」の「ATL方式」を参考にしたので作り方は全く違うと言えば違いますね。とにかく完成品においては珍しい存在です。音もどうやら個性的なようで、3人とも何か奥歯に物が挟まっているような表現…でもこれが確実に「刺さる」人はいそうですね。
「B&W」はやはり王道のようです。機種は「801D4」。オーディオにおいてまさにど真ん中、これぞ情報量、解像度、全ての面で「いい音」の標準とはこれだ、というスピーカー。これを基準に「わしはもっとこの部分を派手にしたい」とか、自分の求める音を判断していくのが良いのでしょう。
「ウィルソン・オーディオ」の「THE WATT / puppy」は未だリフレッシュを行いつつ続けているんですね。さすが名機と言えます。あれって、鳴らしているとどこから音がしているか分からないくらい「スピーカーが消える」んですよね。
「YGアコースティクス」や「マジコ」といった「密閉型復権」のスピーカーはすっかり定着しましたね。バスレフポートを気にしなくて良いので、フェアとかでも素性がわかりやすいのはメリットだな、と思っていました。自分も密閉型を作ってみようと思わせてくれたきっかけでもありました。最後の「マジコ」が1450万円でした。
この特集を読んだ感想をまとめると、
- 高額になればなるほど個性的になるところがオーディオの難しいところですね。ただその個性がものすごく突出しているのでそこにハマれば、欲しくなるんでしょうね。
- エンクロージャーの構造が図解で公表されているものもあり、自作派としては楽しめました。チープに似たことができるのであれば参考にしたいものです。
- 試聴曲の中には古いジャズもある。ただ新しい録音も結局クラシック、ジャズ、ヴォーカル。逆にもっとポップス/ロック系があっても良かったように思いました。
この「ステレオサウンド」、第二特集も含めてまだまだ内容は盛りだくさんなのですが長くなりましたし、とりあえずはこの辺りで締めたいと思います。それにしても、ここ数年は最新スピーカーの音を自分も試聴していない事に気づきました。聴く機会があれば…なんて言っていますが、無いわけではないですね。積極的に行かなきゃ、ですね。

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