密閉型の特徴、それは前にも書きましたけど「吸音材」ですね。
チューニングはここを攻める事になるわけです。当初投入した吸音材はバスレフよりは多いものの、慣れていないだけに「様子見」という要素が強かったのです。まあ、簡単に言えば「吸音材、もっと入れてみようぜ」という事なんですけどね。
どういう素材を入れるか。オーソドックスに攻めてみますか、というわけで東急ハンズ。入手したのは「ホワイトキューオン」というエステルウールですね。これは確か、製作時にシンサレートと共に投入したエステルウールと同じものだと思います。300mm四方のこれを半分に切り、特に何も考えずそれぞれを蛇腹に折り畳んで両方に詰め込みました。何となく、エンクロージャー全体にふんわりと吸音材が入ったようなイメージです。
ユニットを再装着して、試聴してみましょう。
あ、なるほど。明らかに変化は聴き取れます。良い感じに聴きやすくなり、さらに雑味が省かれてきたような感じがあります。計測すると、カマボコだったバランスがかなりフラットに近くなったのではないでしょうか。
明らかに向上を果たしました。ここで終了にしても良かったかもしれません。しかし、欲が出てきました。
「まだまだ、上を目指せるのではないか」という。
吸音材の質を変えれば、ひょっとしたら?という期待が頭をもたげてきたのです。失敗した場合を考えると、あまり価格面での冒険はしたくありません。オーディオ専用のものは使わず、色々探してみましょう。
というわけで、しばらくは「吸音材を探す旅(笑)」をしておりました。
休日出勤の振替で休みを取ったある日。「ユザワヤ」に私はいました。ここなら色々な「ワタっぽいもの」が売っていそうではないですか。数人のご婦人方がワークショップ的に集まっている中、様々なクッション素材のコーナーを見つけました。その中でピーンと来たのです。
「これだ」
と手に取ったのはウール100%の中綿。自然素材、良いじゃないですか。本来の用途はどうやら「針山」に使うようです。なるほど、羊毛に含まれる脂分が針を錆びにくくするというわけですね。
ウールを選んだ理由の一つに、繊維の「不均一性」があります。毛の太さが一定ではないため、吸音できる範囲が広いはずなのです。ここに目をつけました。
とりあえず4個買ってきました。一つを開封すると、「4つも必要なかったか」と状態に…圧縮されて入っていたので1個が結構多かったのです(笑)。でもまあ、元々ぎゅうぎゅうに押し込めるくらいのつもりだったので、悪くはありません。(結局、一個余りました。)
何度目でしょうか、ユニットを取り外してウールを詰め込んでいきます。4月だったので、ウールを掴むと結構暑かったですね。さすがの保温能力です。もはやエンクロージャー内は吸音材まみれとなりました。果たしてこれが正解なのかどうか、正直な話よく分かりません。自分が気に入れば、それが正しいという事にしましょう。だからこその、自作なのです。
試聴すると、何だかナチュラル。天然素材を入れた、というプラシーボ効果?まあ、そうかもしれませんがこれまでより「優しさ」が加わり、低域もガツンと来ています。いや、これ普通に良いですよ。うん、良い。
計測にも見事、それが現れました。カマボコバランスで中域が張り出し気味だったのが、山が低くなってフラットに近くなっています。天然ウール100%が上手い事、仕事をしてくれているという事ではないでしょうか。成功と言って良いでしょう、自画自賛ですが(笑)。
これでチューニングは終了して、今に至ります。今回のブログ記事執筆にあたって、1年振りにセッティングして聴いていますが、キレの良さ、滑舌の良いスピード感、タイトな低域が気持ちが良いですね。初めての密閉型でしたが、チューニングも相まって良いものを作ることが出来たな、という満足感を得ることの出来る製作でした。
コメント
初めまして。
密閉型スピーカーで検索してたら辿り着きました。
ところで、このAlpair 10を使った密閉型エンクロージャー の寸法・内容積・板厚は如何程の物でしょうか。よければ教えてくださいまし。
現在、Mark AudioのOM-MF5とAlpair 7 G.3を使った密閉型のスピーカーの製作を計画しており、MarkAudioのユニットは初めて使うので楽しみであります。
はじめまして。ご訪問及びコメントどうもありがとうございます。
このエンクロージャー、実は設計図をどこかに無くしてしまっているので正確なことが分からなくなっているんですね。
なので、ブログ上でかなりアバウトな事ばかり話しているのは、どうかご容赦いただきたい次第ではあります。
外寸は、幅190×高さ400×奥行き290 でした。板厚は15mmです。内容積はそこから類推していただけるとありがたいです。
そもそも私、根っからの文系でして、あまり細かい寸法や内容積に拘らないもので、物足りなく思われるかもしれません。
そこはもう少し改善した方がいいんでしょうね。大変申し訳ありません。
とは言え、序章の(1)にも書いているように、一応「自作スピーカー製作プログラム」を参考にしています。あまり逸脱しないようにするために。
Markaudioのユニットは好きになっちゃいましたね。音色が好みです。これから制作するスピーカー、楽しみですよね。完成したらぜひ教えてください。
それでは、失礼します。