ケーブルのグレードダウンをしてみる。

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振り返ってみると、ここ数年で自分のオーディオ機器も少しずつ「低価格化」が進んでいます。プリアンプはホヴランド「HP100」からifi「ZEN CAN」に、DACはステラボックス「ST-2」からchord「mojo」に、ストリーマーの「WiiM Pro」は新ジャンルですが2万円を切る価格です。

そこに以前から使ってきたカルダスやらワイヤーワールドなどの高級ケーブルを使っているんですから、アンバランスも甚だしい、というわけですね。

そこでふと思ったのが「ひょっとして、互いに足を引っ張り合っているのではないか」という疑問でした。疑問を解消するには試してみるしかありません。

そんなわけで今回は、ストリーマー → DAC間のデジタルケーブル(ワイヤーワールド「Silver Starlight6」)を「グレードダウン」してみよう、という話でございます。

とは言うものの手持ちの同軸ケーブルが他に無かったので(昔カナレか何かで自作したような気もしたんですが…見つからず)、フリマアプリで手に入れました。ベルデン「1506A」です。定番と言えるデジタルケーブルですね。20年以上前ですが、同ブランド「1695A」で自作したこともありましたっけ。

シンプルな細身の、単線ケーブルですね。
「カナレ」のプラグが装着されています。

購入したのは0.75mで硬いケーブルなので少々取り回しに手を焼きましたが、単線なので癖はつけやすいものです。なんとか準備は整い、さあ音出しです。いつものようにドナルド・フェイゲン「H GANG」から行ってみましょう。

第一印象としては「しっかりと音が出ている」というものでした。特に低域から高域までのレンジ感に不満は無いですし、堅実感という言葉が思い浮かぶ、そんな音ですね。

ワイヤーワールドの音と比較するとどうか。ワイヤーワールドはやはり「雰囲気を出す」のが上手いな、と感じました。あとはそれぞれの音の立体感が際立ちますね。そしてヴォーカルの口の小ささと音像が少し前に出てくれるところも嬉しい。ただ「音を出している」のではなく、音楽をより「快く」「浸らせてくれる」ように出来ているように思いました。こういったところは、さすがハイエンド系のケーブルですね。

何だか高級そうな、ワイヤーワールド。これは「6」ですが現在は「8」です。

他の曲、ノラ・ジョーンズやカサンドラ・ウィルソンといった女性ヴォーカルや、フォープレイなどのフュージョン系もケーブルを取り替えながら試聴しました。概ね印象は変わらず、情報量や音場感の点でどうしてもワイヤーワールドの優位は揺るがないかな、と思っていました。

ところが。

数日経ってどうやらベルデンもエージングが行われたのか、グイグイとメリットをアピールするようになってきたのです。

ドラムのガツンとしたアタック、骨太で筋肉の締まった中低域、生々しい中域、僅かなザラつきが逆にライヴ感を醸し出す中高域…まさに単線らしい音とも言えますがこれはこれでいいぞ。やはり定番とも言えるケーブル、その定評は伊達ではなかったわけですね。特にロック系や古めのジャズには打ってつけです。いや~、参りましたね。ただ、ECMのようなジャズですと、「ちょっと静けさの表現が物足りないかな」とは思ったりしました。やはり一長一短はありますね。

結論としては、それぞれに良いところがあって「好み」で選ぶという事になっちゃいますかね。実に月並みな言い方ではありますけど。ベルデンはさすが定番という強みを見せてくれましたし、ワイヤーワールドは高級ケーブルならではの世界観を提示してくれました。機器自体の価格にも、それほど関係なかったかな、という印象です。足を引っ張ってなんか、いませんでしたね(笑)。簡単に言えば「雰囲気」のワイヤーワールド、「力」のベルデン、でしょうか。いやあ、やっぱりケーブルは楽しいなあ…とかつて電線病に羅漢していた時期の事をしみじみと思い出すのでした。

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