ジャズ名盤を巡る旅(7)〜「Us Three」ホレス・パーラン・トリオ

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ブルーノート・レーベルで何が好きか?と問われると一枚だと難しいですが、何枚か挙げていいよと言われたら必ずこれは入りますね。

まず、何と言ってもジャケットがカッコいい。ジャケ買いしたくなるアルバムが多いブルーノートですが、これもその一枚ではないでしょうか。でっかい数字の太いフォントがランダムに散りばめられただけと言えばそうなんですが、まさにデザインの勝利!と唸らざるを得ないカッコ良さ。その埋め尽くされた数字の隙間に朱色でタイトル、数字の中に黄色フォントで主役であるパーランの名前、白色でリズム隊を配するという分かりやすさ。シンプルですけど情報は十分です。

う〜ん、カッコいい!本国盤が欲しい…こちらは東芝EMI盤です。

ピアノトリオでメンバーは以下の3人です。

このホレス・パーランという人はピアニストですが右手にハンディキャップがあり、薬指と小指が自由に動かないそうです。しかしそれを克服して逆に左手による低音部で独特のグルーヴ感を出すという、唯一無二のピアニストになったわけです。

ピアノトリオという編成、ブルーノートでは珍しいと言えます。スリー・サウンズが有名ですけど、それ以外となると「ソニー・クラーク・トリオ」、あとは…デューク・ピアソンでしょうか。どうしてもホーンが入って賑やかなのがブルーノート、そんなイメージはありますね。

しかしこのアルバム冒頭のアルバムタイトル曲でもある「Us Three」を聴くと、そのグルーヴィなサウンドに一気に持っていかれるんですよ。普通のピアノトリオ的なサウンドを想像していると、見事に裏切られる事間違いなしです。ホーン隊が無くても十分な音圧が感じられるんですね。また、活躍するのがベースのジョージ・タッカー。タイトな指さばきで、パーランを煽ってくれます。それに応えるようにさらにグルーヴは激しくなっていきます。

2曲目と3曲目はスタンダードでスローナンバー。しかし他のピアノトリオならしっとり響きと余韻を生かしつつ…みたいになるところを、この3人はやっぱり違います。ピアノもベースも何だかパーカッシヴと言いましょうか、独特の演奏になるんですね。よく「黒い」と表現されますが、まさにその通りかもしれません。

4曲目はパーラン作曲のブルース。ミディアムスローなナンバーですが、ベースがガツンと鳴り、まさにブルージーなパーランのピアノはこうしたゆったりした曲調でも身体が自然にリズムを取ってしまいます。

5曲目、レコードだとB面1曲目ですがこちらもスタンダードですね。軽快なピアノが光ります。この曲、10数年前にトニー・ベネットとレディ・ガガが歌ってヒットさせましたね。

6曲目はマイルス先生の名曲。まさに「歩くような」リズムで、それでもちょっと身体を揺らしながら歩いている?そんなグルーヴィな演奏。ホーン無しでも物足りなさはありません。

ラストはオリジナル曲で締めます。跳ねるようなリズミカルで明るい演奏。そして相変わらず力強い打鍵。アル・ヘアウッドのドラムも楽しそうです。

またタイトル曲の話に戻りますが、1960年にこんなカッコいい音があったのか…と改めて唸らされます。そしてジャケットをまた見る。こんなに音とジャケットが合致するなんて…。ブルーノート・レーベルのジャケットをデザインしているリード・マイルスはジャズは聴かない人だったとか。それでもこんなに「ジャズ」なジャケットを作るなんて、ねえ…。

自宅でしっとりと、と言うよりジャズ喫茶で爆音で聴きたい…そんなピアノトリオです。

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