80年代というのは、いわゆる「ロック、ポップス」と呼ばれるジャンルだけではなく、「フュージョン」が流行った年代でもあると思うんですね。…そうでもないか。「いやいや、70年代から流行っていたじゃん」と言われそうですよね。まあ、音楽ファンからさらに一般的に降りてきた、馴染み深いモノになったとも言えるのではないでしょうか。ちょっと強引でした?
ジャズから派生したジャンルではありますが、ロックとの親和性も高く、またAOR系にかなり近い雰囲気を持ち合わせていたりしたので、受け入れやすかったのではないでしょうか。インストが多くを占めるものの、歌うようなメロディを持つ曲が思い出されますよね。
ロックとの繋がりとしてはやはり70年代後半の名盤ジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」が大きいでしょう。これでインストに対する拒否感みたいなものはまず排除されていたのではないでしょうか(たぶん)。
インストがメインな事もあって、フュージョンの場合は洋邦問わず聴いていた方もかなり多いとは思いますが、邦楽の方は別稿に譲ることにしてタイトルに拘って洋楽に限定して紹介したいと思います。
Night Birds / Shakatak
タイトル曲。まさに80年代フュージョンの代表曲と言えるのではないでしょうか。みんな一度は耳にしていて「ああ、あの曲ね」と納得してくれるような。印象的なエレピのフレーズ、ギターのカッティング。そしてコーラス。全てが完璧。
Winelight / Grover Washington Jr.
なんと言ってもビル・ウィザースをフィーチャーした「Just The Two of Us」が全米2位。どちらかと言えば「AOR」で取り上げた方がいいのかもしれませんね。それ程この2つのジャンルは親和性が高いですね。当初はてっきり歌っているのがグローヴァーさんかと思っていました(笑)。
George Benson / Give Me The Night
歌モノに味をしめた(?)ジャズギタリスト、ジョージ・ベンソンが80年代初頭にクインシー・ジョーンズと組んでリリースしたアルバム。得意のスキャットも絡めて歌うタイトル曲、これは売れますよね~。やっぱり上手いギターの音が、極端に軟派な方向へいきそうなのを辛うじて食い止めています。
Duotones / Kenny G
「AOR」篇に続いてまた取り上げてしまいました。でもまあ、これを無視するわけには行きませんよね。「Songbird」がインストにも関わらず全米4位の大ヒット。ポップチャートでもヒットしたのでもはや「フュージョン」という枠組みも超えてしまった程の勢いでした。
Future Shock / Herbie Hancock
個人的にハービーを知ったのはこのアルバムからの代表曲「Rock It」でした。マイケル・ジャクソンがグラミーでいくつも賞を受賞して授賞式のテレビ放映もあったとき、そこでガイコツが踊るパフォーマンスを披露していたこともやけに印象に残っています。こういうデジタル系サウンドでもアコースティックでも「ハービー節」とも呼べる音を持ってますよね。
Still Life (Talking) / Pat Metheny Group
当時は「軽くて爽やか」というコーラみたいなイメージしか持てなかったパット・メセニー。しかし聴けば聴くほど「何だか凄い」という「怖さ」さえ感じるようになりました。代表曲「Last Train Home」収録。これも一聴BGMみたいですけど、「どこへ行っちゃうんだろう」と思わせてくれるギター演奏がたまりません。
“RIT” / Lee Ritenour
「キャプテン・フィンガーズ」ことリー・リトナーが歌もの主体(B面はインスト)のアルバムを81年に出しました。AOR的ではありますが、参加ミュージシャンは豪華ですね~。リーのギターもそれ程グイグイ前に出ているわけではありませんが、それが総合的にまとまりの良い作品に仕上がっていると思います。
Running In The Family / Level 42
一聴して普通にポップス系かとも思われるんですが、リーダーにしてヴォーカル兼ベーシストのマーク・キングのベーステクは凄いです。代表曲「Lessons in Love」でもかなりベースが際立っています。そう言えば当時のFM誌の番組表はジャンルで色分けされていたのですが、レベル42はジャズ/フュージョンに分類されていましたね。当時は「?」でしたけど。
こうやってピックアップしていくと、80年代という時期にはそういう「魔力」みたいなものがあるのか、何でも「ポップでキャッチー」にしてしまうような気がしてきました。これが賛否両論を呼んでしまうんでしょうかね(笑)。
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