ワクワクが止まりませんね。
新しいスピーカーを接続するその瞬間、迅る気持ちを抑えるのに必死です。アンプの電源は落ちているか、確認することを忘れてはいけません。何せ一度、トゥイーターを飛ばしたことがあります…
座椅子に腰を下ろし、いよいよ緊張の音出しです。何せ自作なので、まともな音が出るかどうか大変不安な面もあるわけですよ。
試聴曲はいつも大体決めています。まずはドナルド・フェイゲン「モーフ・ザ・キャット」から2曲目「H Gang」を…
音、出ました。
とりあえずは、普通に出てくれたことにホッとします。ただ、低音も高音もちょっと控えめかな…低音はやはり設計ミスなのか、高音は逆にもっとうるさいくらいに出るかと思いきや、意外に大人しいものでした。ボーカル帯域はしっかり出ているし定位もピンポイントで前に出るのでクロスオーバーの悪影響は出ていないものと思われます。ちなみにトゥイーターは逆位相で繋いでいます。
まあ、このトゥイーターがどのくらい寝かされていたのか分からないですし、ウーファーも駆動させるのは6年ぶりくらいでしょうか。しばらく様子を見ないと何とも言えませんね。ネットワークのパーツ類もありますし。
3〜4日経って、特に高音は最初に比べて明瞭になってきたと思ったので、ここで計測をしてみます。
計測と言っても大袈裟なものではなく、iPhoneのアプリ「Audio Frequency Analyzer」を使って、簡単な周波数特性を測ってみよう、というものです。
テスト信号を再生し、特性を測ります。あくまでリスニングポジションでの計測です。スピーカー自体の特性ではありません。自分が聴く場所で良ければいいや、という考え方です。下のグラフが計測結果です。
…思ったよりフラットですね。逆にびっくりです。苦心してクロスオーバーの数値を設定した甲斐がありました。
ただし。
100Hzにピークがあって、以降急峻に落ちていきます。これはやはりバスレフダクトの設計ミスがモロに出てしまった結果ですね。構想としては、左隣の63Hz〜80Hzにピークを持っていきたかったのです。そこから落ちていけば、もう少し低域に力感が出たのではないかと思います。
対策としては、対症療法的ではありますがバスレフダクトを狭めるのが早道でしょう。シルク吸音材を適量ダクトに詰めてみます。完全には詰めませんし、ワタのような素材ですから隙間も多いです。計測を繰り返しながら、量や詰め方を変化させていって最適なポイントを探っていきます。
結果、下の写真のレベルにまでは持っていきました。最初のグラフに比べると、ピークはだいぶ抑えられたのではないでしょうか。しかも、50〜63Hz辺りは少し持ち上がって100Hz以降の落ち込みが緩やかになっています。聴感でもバランスが良くなった感はあるので、調整は成功と言えますね。
このスピーカーを完成させたのが21年7月。執筆時点では10ヶ月が経過しております。それから秋から冬にかけて、最初大人しかった中高域が少しうるさくなったりもしました。新旧入り混じったコンデンサ類のエージングだったのでしょうか?よく分かりませんが程なくそれも落ち着いて、今はちょうどいい塩梅になっていまして、しばらくメインスピーカーの座に着いています。分不相応な高級ユニットのお陰で、懐の深いハイエンド・サウンドの片鱗を味わえているのではないか、とさえ思ったりします。勘違いかもしれませんけどね(笑)。
以上、長い連載になってしまいましたが、スピーカー製作記でございました。また折に触れて、その他のスピーカーの製作記も掲載できればと思っております。
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