シンガーソングライターばかり紹介してきましたが、今回のスプリングスティーンも毛色は少々異なるものの、実際は同じかもしれませんね。
とは言え特に日本でのイメージは「マッチョなロッカー」という感じでしょうか。まあ仕方のない面もありますよね。「ボス」と言う呼称、しゃがれ声、使い込んだエレキギター(テレキャスター)、「明日なき暴走」というアルバムの邦題、そして「ボーン・イン・ザ・USA 」という星条旗をあしらったジャケット。そういうイメージが付いてしまうのは避けられないかもしれません。
実際の彼は、社会派シンガーソングライターとも言えるタイプなんですね。レイシスト的なイメージのついた「ボーン・イン・ザ…」にしても、実際にはアメリカ批判の歌です。まあ、あの曲やアルバムは随分と威勢の良いサウンドプロダクションが施されていて、誤解されても仕方がないような面もありますが…
かく言う私も、高校時代にリアルタイムで「ボーン・イン・ザ…」に触れてファンになってしまったので、入口としてああいう音は必要だったとも言えます。そこから過去に遡ってなけなしの小遣いをはたいてアルバムを揃えていました。当時レンタルレコード店も出始めてはいましたが、「この人のは買わねばならない」という強い思いがあったんですね。
買ってきたレコードの訳詞には、「物語」がありました。そう、ボスの特徴としては「一曲一曲が短編小説のよう」なんですね。例えば「地方に閉じ込められて抜け出したいけど抜け出せない」市井の民衆の心情などを描かせたら超一流かと思います。英語の理解が深まれば、一層曲を味わうことが出来ますね。ただあまり滑舌の良いタイプではないので、聴き取りにくいですけどね…
そんな「ボス」のおすすめアルバムはと言うと…
「エッセンシャル・ブルース・スプリングスティーン」(’15)
はい、ベスト盤です(笑)。ソニー系アーティストお馴染みのシリーズですね。2枚組というのはメリットにもデメリットにもなりますけど、デビュー作から割と最近の作品まで満遍なく網羅されている点で選びました。「グレイテスト・ヒッツ」という一枚ものもありますが、1st、2ndアルバムから選ばれてないのが少々物足りないんですよね。
「明日なき暴走」(’75)
ベスト盤に代表的な3曲は収録されていますけど、なんと言ってもジャケットがカッコ良いんですよね〜。でもレコードだとそれぞれの面の最終曲「裏通り」「ジャングルランド」が圧巻なので、やっぱりこのアルバムを推したいですね。できればアナログで欲しい作品です。
「ザ・リヴァー」(’80)
2枚組でありながら、全米No. 1を記録した名盤です。ベスト盤にもそれなりに収録されていますが、「キャディラック・ランチ」などライブ映えする曲が多く含まれているので、やっぱり押さえておきたいアルバムですね。
「ボーン・イン・ザ・USA」(’84)
ベタではありますけど、これを紹介しないわけにも行きません。全編捨て曲無し、実際12曲中7曲がシングルカットされましたが「あれ、こっちはしないの?」という程でした。前述したベスト盤でも3曲がセレクトされていますが、足りないんですよね(笑)。80年代を代表するロックアルバムであることは間違いありません。ごきげんなロック作品として聴けますけど、実際の内容は暗くて重いのです。
「ライヴ1975〜1985」(’86)
やっぱりスプリングスティーンの魅力はライヴですね〜と言いたくなってしまうCD3枚組!レコードだと5枚組!タイトル通り10年間のライヴから厳選されたものなので、曲毎に会場の広さや歓声の数など違いも面白いですが、ボスと「E・ストリート・バンド」の圧巻の演奏は理屈抜きに楽しめます。
個人的には1st「アズベリーパークからの挨拶」や2nd「青春の叫び」も大好きです。1stは昔は「流石に地味だな〜」と思っていましたが、ここ最近のSSW寄りなアルバムを聴くと、これが源流なんだなと気付かされます。2ndも「ロザリータ」が最高に気持ちの良い曲なんですよね〜
現在も数年ごとに新作を発表して健在ぶりを見せつけております。今年(2022年)73歳、今は決して老け込む年齢ではないですね。
そしてまた2022年11月、これを書いている時点では近日発売ですね、ニューアルバムは。
今作は何と、ソウル・ミュージックのカバーアルバムなのです!「俺の歌声を聴いてくれ」というボス、いやあ、最高じゃないですか。そりゃあ、聴きますよ!3曲聴きましたが、年齢を重ねてより熟成された、本当に素晴らしい歌声に感動です。いつまでも若々しくて格好良いボスに乾杯!!今回は興奮して「!」多めになってしまいました…
(今回、レコードのジャケット写真が見つからず…見つかったら、こっそり付け加えておきます…)
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