新シリーズでございます。まあ、色々なところで語り尽くされているであろうロック界のレジェンドへの愛を、私にも話させてくれ!、というだけのコーナーです。
第一回はニール・ヤング。76歳にして、現在も現役バリバリの御大ですね。ロックというよりSSW(シンガーソングライター)の範疇で語られる事も多いです。
しかし、ここで天を仰ぎたくなりました。何せ、1966年「バッファロー・スプリングフィールド」のデビューから、現在に至るまでほとんど休養期間も無く新作を出し続けているのですよ、このお方は。さらにここ最近は「アーカイブ・シリーズ」と称した過去のライヴなどを、新作の合間合間にリリースする、という事までしているので誰よりも忙しい人なのではないかという気にまでなってしまいます。整理してお話ししないと、ワケが分からなくなりそうですよね。
気を取り直して、行ってみましょう。
まず、この人「顔が怖い」。
いきなり何の話なんだ、と思われるかもしれませんが(笑)。いや、どこからどう見てもいかつい「ヒール(悪役)」顔ですよ。年を経るごとにそれが熟成されていっている感があります。顔が似ているわけではありませんが、私はアメリカプロレス団体「WWE」の「アンダーテイカー」を思い浮かべてしまいます。ヒールだけど大人気で、大物のオーラが迸っているんです。
そして、「声がか細い」。
そんないかつい顔から、繊細でひ弱そうな声を出して歌うのです。「ギャップ萌え」してしまう人もいらっしゃるかもしれません。
ここまで何だか逆宣伝になってしまっている感もありますが、私は大変リスペクトしておりますよ。
スタイルとしてはソロか「クレイジー・ホース」というバンドを従えての演奏ですが、ニール自身のギターがこれまた好きなんです。
それは「アコースティックにしろエレキにしろ、何だか攻撃的」なところです。
アコースティックなら強いカッティング、エレキなら歪ませまくった音、どちらも印象的なんですよね〜。クセになります。ニルヴァーナのカート・コバーンが尊敬していただけあって、「グランジの始祖」と呼ばれる事もあります。
やはり、おすすめのアルバムなど紹介せねばなりませんね。
「グレイテスト・ヒッツ」2004年リリース
ベスト盤かい!と言われそうですが(笑)。でも一番手っ取り早いですよ、実際。まずはベスト盤で一通り聴いてみて、気に入った曲が入っているアルバムから攻めていく、というのが常道かと思います。時系列順に大体漏れなく網羅していて、しかもCD1枚なので気楽です。未知のアーティストの2枚組って、流石にダレる事がありますからね〜最初は1枚ものの方が何にしても無難かと。一曲目の「Down by the River」から歪みまくったギターの攻撃がたまりません。これがお気に召せば、もう「こちらの世界にいらっしゃいませ」という感じですね。
「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」1970年
消え入りそうなほどか弱い声のタイトル曲、「サザン・マン」の歪みまくっているのに艶っぽいギター、A面の怒涛の展開は最後のお遊び的な曲に至るまで緻密な構成に思えます。B面はややカントリータッチ。
「ハーヴェスト」1972年
出だしから引き込まれるギターの音、たまりません。全体的にカントリー調ではありますが、一般的なそれとは一線を画した緊張感を感じます。または音が醸し出す荒涼とした風景でしょうか。何やかんや一番ヒットした「孤独の旅路(Heart of Gold)」が収録されています。
これらのアルバムに続くのは「今宵、その夜」「カムズ・ア・タイム」といった辺りですね。あと「ハーヴェスト」から20年経って当時のメンバーが再集結して作られた「ハーヴェスト・ムーン」も良いですね。
また、前述しましたがここ最近の発掘ライブ盤の数々も素晴らしいです。音質に拘る彼は、音の悪いブートレッグで出されるくらいなら「この音が本物だ!」とばかりにリリースしまくっているんですね。確かにその生々しい音は50年前にタイムスリップして眼前で演奏しているかのよう。いやはやこういうスタンス、ニール、男前です。
音質と言えば、彼は「音が気に入らない!」とストリーミングサービスから撤退した事もありますし、独自のハイレゾ音源サイト「PONO MUSIC」を立ち上げたり(残念ながら終了してしまいましたが)と、音へのこだわりは半端ではありません。こういう職人気質なところは好感が持てますね。
そんなニール、昨年末に新作を発表して精力的に活動しています。今年も未発表作品や発掘ライブなど追いかけても追いつけないくらいリリースしております。ファンになったら、退屈しないであろうことは間違いありませんね。
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