80年代洋楽を思い出す(9)〜この時代の「AOR」とは

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ボビー・コールドウェルがお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

冒頭から何だか悲しい話題でしたが、今回の80年代シリーズは彼に代表される「AOR」です。AOR=アダルト・オリエンテッド・ロックの略とされていますが、ネオアコなどと同様和製英語なのです。まあでも字面からオトナ感が出ていて上手いワードですよね。現在、世界的な流行という日本産「シティポップ」にも多大な影響を与えているのはこの辺りでしょうね。

とは言え、このムーブメントは70年代から始まっているので80年代ネタとしては微妙なのかもしれませんね。前述のボビーも80年代はシンガーと言うより作曲者としての側面が強いでしょうか。

私自身は当時「いかにも」といった感じのソフトでメロウなAORは少々苦手でした。若かったですしね。やっぱりある程度年齢を重ねてくると、良さが分かってくるというジャンルでしょうか。

そこで今回はあくまで「80年代におけるAORアーティスト」あるいは「大人の80年代ロック」という切り口でお話ししたいと思います。ですのでバリー・マニロウとかネッド・ドヒニーとか、私より上の世代の方には大いに懐かしいでしょうけれども、ここでは紹介を致しませんのでどうかご理解のほどを。それでは…

ボズ・スキャッグス

まずはこの人の名前が思い浮かびますよね。ただ70年代後半にヒットは集中していて、80年「ミドル・マン」以降しばらくリリースは途絶えていました。その間も日本では「AORの重鎮」としてラジオでも頻繁に「We Are All Alone」が流れていました。88年に久しぶりの新作から「Heart of Mine」が日本でヒットしましたが、これがボビー・コールドウェルが提供した曲なんですね。現在でもジャズやソウルをオールマイティに歌うシンガーとして親しまれています。

ドナルド・フェイゲン

ジャンル的には確かにAORなのでしょうが、ジャジーでクールな雰囲気は他とは一線を画する存在かと思います。当時は少々苦手なAORの中にあって、例外的に好きなアーティストでした。自分がジャズ好きになる素地はあったという事なんでしょうかね。今でも私的アルバムベスト1に選ぶほどの偉大な方ですね。「New Frontier」

クリストファー・クロス

ヒットが80〜81年に集中していて、82〜3年から洋楽を聴き始めた自分にはリアルタイムではないのですが、やはりその短期間でのヒット曲は今でも聴き継がれるものばかりなんですよね。「Ride Like The Wind(風立ちぬ)」「Sailing」「Arthur’s Theme(ニューヨークシティ・セレナーデ)」というハイトーンヴォイスが冴え渡る曲たちが本当に素晴らしい。

シカゴ

80年代でAORというと、実はこのバンドなのではないでしょうか?「ブラス・ロック」と呼ばれた時代から、プロデューサーにデヴィッド・フォスターを迎えて切ないバラードが得意になっていきました。全キャリアを時系列順に網羅したベスト盤を聴いていくと、その変遷が分かって面白いですね。80年代に限って言えば「Hard To Say I’m Sorry(素直になれなくて)」「Hard Habit To Break (忘れ得ぬ君へ)」「Look Away」といったバラードを大ヒットさせています。

ピーター・セテラ

前述のシカゴをAORバンドとイメージ付けたヴォーカリストと言えるでしょうね。脱退してソロになってからも「Glory Of Love」「Next Time 」といったバラードナンバーでヒットを飛ばしました。そう言えば、日本映画の主題曲となった「Stay With Me」はボビー・コールドウェルの作曲でした。

エア・サプライ

どちらかと言えば夜が似合うAORですが、このバンドはスッキリした晴天が似つかわしいですね。爽やかな歌声と軽快な演奏、バラードなのになぜか湿っぽくならない貴重な存在でした。どうしても「軽く」聞こえてしまうためか、評価はあまりされていないイメージがありますけれども今聴いても全く悪くないと思いますよ。「Lost In Love」が代表曲ですけど「Making Love Out Of Nothing At All(渚の誓い)」も良いですね〜。

クリス・レア

ハスキーヴォイス好きにはたまらないガサガサ声がイイですね。そしてスライドギターというのも渋くてカッコ良いじゃないですか。CM曲となった「On The Beach」が日本でヒットしたので馴染み深い方も多いかと思います。「Driving Home For Christmas」が私的クリスマスソングNo.1ですね。今でも毎年シーズンには結構FMで流れるのが嬉しいものです。

ケニー・G

シンガーではなくてソプラノサックス(主に)奏者ですが、ここに含めても良いのではないでしょうか。ポップでメロウな「Songbird」が大ヒットしました。確かに今で言う「スムース・ジャズ」なんでしょうけど、かなりポップス寄りですね。

「そんなにこういうジャンルは聴いていなかった」と自分では言いつつ、そうでもなかったんですかね(笑)。でもボズ・スキャッグスとかは「ちょっと甘すぎる音楽だな〜」なんて高校生だった自分は思っていましたわ…。今はよく聴きますけどね。

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